hobilog

日々のつれづれ。

【映画】Night School

一週間前くらいに飛行機の中で鑑賞。

www.imdb.com


主演かつ作者のケヴィン・ハートという俳優・コメディアンは、今年のアカデミー賞の司会に選ばれたとか(辞退したそうだけど)。人気あるのね。

 

作品自体はなかなかにB級感漂う、あまり考えずに観られるドタバタコメディ。
リア充だけど勉強ができず、高卒認定試験的なもの(GED: General Education Development)に合格できなかった主人公の男性が、大人になってから仕事のために試験を受ける必要性に迫られて、夜間高校に通うお話。
安心安全のポジティブなアメリカ映画。

しかし学習障害持ちという設定にしておきながら、その解決策として格闘技で捻じ伏せて、集中しろー!って迫るのはどうなのか。。。ギャグ映画とはいえ、本当に困っている人たちからはクレーム来そう。

 

あと、最後の方で、学校の先生がレズビアンだったっていうエピソードが出てくるけど、これが「だから主人公には恋愛対象として興味がない」ということを証明するだけの要素としてサラッと扱われて終わるのが、ちょっと新鮮だった。
ちなみに主演俳優のケヴィン・ハートアカデミー賞の司会を辞退した理由は、10年くらい前にアンチゲイなツイートをしたことが原因だとか。この映画での先生の描写を観るに、きっと今は結構認識変わったんだろうに。
ネットに色々書き残すことのリスクは小さくないなぁ(と思いつつブログの形で書き残す。。。)

 

日本公開は、されない予感。

【映画】ボヘミアン・ラプソディ

早速更新が滞ってるけど、今年は映画鑑賞記録もつけておこうと思う。

 

既に何本か観ているけど、まずは今日ようやく映画館で観た、大ヒットのこちらから。

www.foxmovies-jp.com

 

歌ったり手拍子したりできる応援上映ってのが楽しいのでは? と思って行ってみたけど、さすが日本人なかなかにお行儀がよく、大フィーバーしてる人はいなかった。
サイリウムが数本見えたのと、手拍子したり歌ったりしてる人がちらほら。お上品。
コスプレも可らしいけど、日曜の日本橋にフレディコスの人はいなかった。

 

音楽メインの映画。
フレディ・マーキュリーに強くスポットライトが当たってはいるものの、出自の紹介は割とサラッとしていて、ヒースローの荷物担当をしていた頃よりも前の彼の人生は、白黒写真でチラッと出てくる程度。人生の終わりの時期を共にしたジムもあまり細かく描かれてはいない。
あくまでQueenというバンドの物語が中心になっている印象。
(本筋じゃないけど、冒頭の20世紀フォックスの画面で、あの曲がギターなのは楽しかった。先にサントラを聴いていたので知っていたけど、あれが冒頭に来るとやはりテンション上がる)

 

しかし私はQueenというバンドを特に知っているわけではなかったせいもあるのか、観ながら主に気になったのは、フレディの人生の背景にあった歴史の諸々。

フレディはペルシャからインドに逃れたゾロアスター教徒の家の出身。そうした人々はParsiと呼ばれているのだと今回知った。ちなみにタタ財閥のタタ家はParsiなのだそう。
で、彼の父親は、英保護国であったザンジバル大英帝国の出納係の職に就いており、フレディ自身は1946年にザンジバルで生まれている。
インド亜大陸にルーツを持つ東アフリカの人々も、更にその先のルーツを辿るとまた多様なのだろうなぁと。仕事でたまにお見かけするパキスタンケニア人の方が、西洋人に近い風貌でちょっと不思議だったのだけど、ルーツが例えばペルシャ系だと言われれば納得いくわ、などと思った(実際何系かは不明)。

このザンジバルという場所も、ある種辺境、ある種アクセス良好ということのようで、なかなか興味深い歴史のあるところらしい(ビーチリゾートのイメージが強すぎたけど。。。) スワヒリ文明が栄えた後、ポルトガルの征服を経て、オマーン帝国の中心として栄えた時代があったとか。
戦後は、1964年にタンザニアとくっつく際に革命が起き、アラブ系とアジア系は虐殺の憂き目に遭ったとのこと。そのタイミングでフレディ一家はザンジバルからイギリスに逃れたのだそう。

作中で何度かフレディがパキと呼ばれてるのも興味深い。1970〜80年代のUKでインド系といえばパキスタン系がメインだったのだろうか。

世界史のテキストには一文書かれたきりで、その後スポットライトが当たらないまま終わるような歴史上の出来事が、ごく最近の人の人生に深く影響を及ぼしているんだなーと改めて。やっぱ歴史はいろんな角度から勉強し続けた方が良いなと。。。

 

もう一つ歴史的事実としてちょっと気になるのは、フレディがゲイであることの描写が比較的マイルドだったのは、今の時勢を反映してのことなのか、あるいはあんなもんだったのか。記者には相当詰められてたし、悪い奴にハメられて可哀想だったりもしたけど。
元パートナーのメアリーとの関係には、ちょっとじーんとした。フレディはあの人には随分救われたのだろうな。セクシュアリティは噛み合わなくても、お互いにとって特別な関係だったんだろう。名前のつけられない、その二人ならではの関係っていうのはよいものだなぁと。

 

最後のシーンはLIVE AID。1985年だそう。そういうものがあったことは聞いたことがあるけど、リアルタイムの記憶はもちろんなし。
この熱狂を経て、1990年代にはaid fatigueと呼ばれる状況があり、2000年代はG8でイシューとしてのアフリカが熱心に語られるような状況があり、そして2010年代はまた全然違う状況があって。。。
開発援助、特にアフリカ支援の歴史も、アーティストの関与含め、改めてちゃんと振り返ってみたいところだなと思った。

 

と、個人的にはいちいち歴史が気になってしまったところではあるけど、純粋にエンタメとして良い出来。
途中ダレることもなく、2時間強集中したまま観ることができた。
音楽メインの映画は、曲はいいけどそこまで感動しないことも多いのだけど、この作品はフレディの境遇が悲劇的な(そしてオチが分かっている)せいもあって、後半は結構泣いてしまった。
また機会があれば観たい。

【本】学校の「当たり前」をやめた。(工藤勇一・著)

2019年は読書記録をつけておこうと思う。ということで早速、記念すべき1冊目。 

 

たまたま新聞の広告で見かけて興味を持ち、その直後に立ち寄った本屋に売っていたので、サクッと買ってみた一冊。図らずも、2019年最初に読了した本になった(実は最初に読み始めた本は別にあるのだけど、スルスルと読めるこちらの本の方が先に終わってしまった)。

 

麹町中学校のアツい校長先生が、過去5年ほど進めてきた学校改革を紹介する本(ご本人としては別に改革と銘打って進めたわけではなく、改善の積み重ねの結果がこうなった、ということだそうだけど)。

歴史ある学校とはいえ一公立校でありながら、宿題も定期試験も固定担任制も廃止、といったなかなかセンセーショナルなことをなさったらしい。

 

と言っても、試験や担任教諭といったものの必要性自体を否定しているわけではなく、そういった基本的なシステムの運用が惰性に陥っているのではないかと徹底的に見直して、違うやり方でやってみたら結構いい感じよ、というお話。

著者はずっと教員をされてきた方だそうで(民間人校長っぽい印象を受けるけど、そうではない)、採用された改善策は教育現場の実態に即した、他校でも実践できそうな内容であるように思えた。

 

一連の改革を貫く考え方は、「自律のための教育を大切にする」ということだそう。これが素晴らしい。

相手への信頼がないと、なかなかできないことなのではないかな。家庭での教育ならまだしも、舞台が学校となると多様な人が来るわけで。人間というものに対する深いところでの信頼がないと、本当の意味でこの理念を達成することは難しいように思う。

こうした深い信頼に基づいて「自律」、すなわち「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」を求める姿勢ってのが、結局は相手の自己肯定感を高めることにつながるんではないか、などということを読みながら思った(そしたらやっぱり、最終章で自己肯定感という言葉に少しスポットライトが当たっていた)。

麹町中学校だと変な人来ないだろうから大丈夫なのかな…とも思ったけれど、最終章を読んだところ、著者は過去には教育困難校でも生徒に同じようなスタンスで接して成功を収めたらしい。すごい。

生徒だけでなく教員・保護者・地域住民といった学校に関わるあらゆるアクターにも自律を求めている、というのも良い。学校における教育理念の域を超えて、あらゆる人間がよりよく社会の中で生きるために必須の姿勢として、自律という概念が提示されている感がある。

 

その他、先進的な教育プログラムの実践についても、今の日本の学校教育の最先端がどのあたりにあるのか少し感じ取ることができて、中学生世代と全く接点のない身には興味深かった。

ちょっとだけ出てくる学校のビックリエピソード(「関心・意欲・態度」という謎の評価項目があるとか、職員室での電話の取り方がなってないとか)も、そういうものなのかぁと楽しく読んだ。

 

読みながら、「現存するものには、存在しているだけの理由がある」という考え方が、自分の中に思いのほか深く根付いていることに気付いた。(これ、元ネタは何だったんだろう?)

この考え方自体は正しいと思うけど、理由が果たして妥当なものであるかについては、きちんと検証しないとならないよね、、、と当たり前のことを改めて思った次第。